粉末の合成洗剤の事を「粉石鹸」と呼ぶ人がいるので一緒だと思っている方も少なくないのではないでしょうか?
実は私も少し前までその1人でした^^;
でも、実は粉石鹸と粉末合成洗剤はまったくの別物!
今回は、そんな粉石鹸と粉末合成洗剤の違いを詳しく紹介します
Check子供服に付いた食べこぼしのシミやミルク汚れの黄ばみの取り方!
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目次
粉石鹸と粉末洗剤の違い
粉石鹸の成分は「脂肪酸ナトリウム」と「脂肪酸カリウム」で、いわゆる「石けん」を粉にしたもの
天然の油脂とアルカリ剤から作られたシンプルな物なので、排水された水は数日で自然分解されます
パッケージには「洗濯用石けん」と書かれています
一方、粉末合成洗剤は石油(または植物油)から科学的に作られた界面活性剤を使っていて添加物も色々と混ざっています
その構造は複雑なので、排水された水が自然分解されるまでに長い時間がかかります
パッケージには「複合石けん」や「合成洗剤」と書かれています
トップやアタックなどの洗濯洗剤売り場の目立つところに並んでいる物は基本的には合成洗剤です
粉石鹸で洗濯した時の溶け残りの原因
石鹸洗濯初心者の方が陥りやすい誤解なのですが、洗濯後に衣類に付いた石鹸カスは大抵は石鹸の溶け残りではなく、酸性石鹸や金属石鹸という全く別の種類の石鹸カスです
酸性石鹸ができる原因
洗濯物の汚れの量に対して石鹸の量が少ないと石鹸液が酸性に傾きベタベタの油状の石鹸カスが発生します
また、石鹸には粉石鹸と液体石鹸がありますが実は液体石鹸の方が石鹸カスが発生しやすくなります
理由は粉石鹸は成分中のほとんどが洗浄成分であるのに対して、液体石鹸は成分中70%はただの水で洗浄成分はたった30%しか含まれていないので洗浄力が弱く酸性石鹸が発生しやすくなります
液体石鹸の洗浄成分が少ないのにはちゃんと合理的な理由があるのですが、酸性石鹸を作らないように大量投入するとなるととてもコスパが悪くなってしまいますよね
この酸性石鹸を防ぐには、洗濯物の汚れに対して十分な量の石けんを入れることです
また、ほとんどの粉石鹸は助剤(洗浄成分を補助するもの)として炭酸塩が入っているのですが、液体石鹸の場合は助剤が入っていないものがほとんどなので炭酸塩を追加して洗濯しましょう
また、すすぎが不十分な(石鹸成分が残っている)状態で仕上げ剤のクエン酸を入れるのも逆効果で、すすぎ1回目には炭酸塩かセスキ炭酸ソーダを入れて酸性に傾くのを防ぎ、クエン酸は最終すすぎ(3回目くらい)で入れると良いです
石鹸洗濯の仕上げにクエン酸やお酢を入れるのはアルカリ性の洗濯液を中和して繊維を柔らかくさせたり衣類に石鹸カスが付着するのを無くすためです
金属石鹸ができる原因
金属石鹸は、水道水の硬度が高ければ高いほど多く発生し、防ぐことはできず白くぱさぱさした粉状か、白いアクのように水面に浮いてきます
洗濯が終わった時に洗濯槽の水位線あたりが白く曇っていたら、金属石鹸の事が多い(=硬度が高い)です
金属石鹸は石鹸液が十分泡立っている状態の場合は「汚れ」として石鹸液の中に取り込まれていくのですが、すすぎの時に石鹸液が薄まって放出されます
さらに、すすぎで注水された水道水の硬度にも反応するので、さらに金属石鹸が作られることになってしまいます
すすぎ1回目で注水されたときに水面に白い粉やアクみたいなものが見えたらそれは金属石鹸で、原因はすすぎ1回目に残る石鹸成分が多いことです
すすぎの前の中間脱水で石鹸液を絞るわけですが、最初に入れた石鹸の量が多ければ、中間脱水でわずかに残った石鹸液の濃度が濃いことになるので、そこに水道水が注水されるとさらに金属石鹸になるので、石鹸液が濃ければ金属石鹸も多くなります
対策としては、洗いとすすぎ1回目の間の脱水を7分〜12分くらいしっかりやることです
やり方は、「洗い→すすぎ省略して脱水(洗濯機の最大設定時間で)」で一度終了し
再度「洗い(すすぎ1回目に当たる)→すすぎ2回(濁り具合で1回にしても良い)→脱水」と、洗濯機を2度に分けて運転します
通常の洗濯機のコースでは、「すすぎ」の前の脱水はせいぜい2〜3分なので、石鹸洗濯の場合はもっとしっかり絞らないとうまくすすげません
また、金属石鹸が浮いたまま排水すると、衣類の上に振りかかり、繊維に残ってしまうので、すすぎ1回目の水面にカスが浮いているのが見えたらネットで取り除いたり、水面に浮くタイプのクズ取りネット(100均にもあります)を使うのも効果的です
水道水の硬度について気になる場合は、水道局に電話するのが一番正確です
粉石鹸の正しい使い方
石鹸洗濯には、上手く使いこなす為の独特のちょっとしたコツがあります
そのコツを知らずに使うと、洗濯物の汚れ落ちがイマイチだったり、洗濯物が油臭くなったり黄ばんだりといったトラブルに見舞われる場合があります
特別なコツが要らない合成洗剤との違いの一つには、そうしたマイナス要素もあり使いこなすのに最初は大変かと思います
でも慣れると特に負担にならなくなり、スッキリ洗い上がった洗濯物に爽快感を感じ私は逆に洗濯が楽しくなりました
石鹸洗濯のやり方
・助剤が入っていない粉石鹸を使う場合は助剤を入れる
助剤が入っていない無添加の粉石鹸や液体石鹸は、石鹸カスが発生しやすく洗濯槽にカビが生えやすくなるので、粉石鹸を入れる前か同時に助剤を入れます
・石鹸の使用量
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石鹸の使用量は、洗いの最後まで「泡立てれば泡がたつ状態」であればいいのであって、洗濯機の撹拌だけで泡が消えても石鹸を追加する必要はありません
泡立ち確認は、洗濯機の撹拌で見るのではなく手か泡立て器でシャカシャカする方が間違いないです
泡が立ち、かつ多すぎない量ということで石鹸の適量はけっこう幅が狭いので「水の硬度や衣類の汚れ具合による適量」の見極めが大切です
・最初にしっかり泡立てる
しっかり洗剤を泡立てておかないと石鹸カスや洗濯槽のカビ以外にも洗濯物が段々黄ばんで来る、その内油臭い変な臭いがする、などなどトラブル要因満載状態になってしまいますので気を付けましょう
石鹸を溶かす時は、洗濯機の水の落ちてくる辺りに粉石鹸を入れておき、洗いのみ7分でお風呂の残り湯使用、最低水量でスタートするとほぼ溶け残らず、洗濯槽の上の方まで泡が立ちます
(事前攪拌は最低でも5分以上は回した方がいいと思います)
お湯が使えないとか硬度が高い等の理由で溶けきらない場合は、洗面器などに粉石鹸とお湯を入れて、泡立て器でかき混ぜて完全に溶かしてから洗濯機に入れてます
また、洗濯物を入れる前にしっかりアワアワになるようにしていても濃い色の洗濯物に石鹸カスが残る時は洗濯物同士の絡まりが原因のことがあります
その場合は、洗い後の中間脱水に入る前に一時停止して絡まった洗濯物を手でほぐしてやると改善します
全自動洗濯機は二槽式洗濯機と違って、「脱水する時に、洗濯物で洗濯液を漉す」形になってしまうので、どうしても洗濯物同士が絡まった部分に石鹸カスが溜まりやすくなります
一手間かかりますが、この絡まりを途中でほぐしてやると、石鹸カスが洗濯物に付着しづらくなりますよ
・すすぎは2,3回行う
化学繊維のものだと泡切れがいいのですすぎは2回で大丈夫ですが、タオルなど水分を多く含むものの場合は3回にしてしっかりすすぎを行いましょう
すすぎが甘いと、残った石鹸カスが酸化して油臭い臭いを放つようになってしまいますのでしっかりすすぎましょう
・仕上げにクエン酸を使って中和する
石鹸洗濯の仕上げにクエン酸を入れると中和する事ができます
粉石鹸を使うと洗濯液はアルカリ性になるのですすぎの仕上げでクエン酸を入れることでphを中性に戻す役割があります
そして、もう一つ中和する事で衣類に石鹸カスが付着するのを防ぐ効果もあります
お酢でも中和させることがでますが、ニオイがあるのでもう一回すすぎが必要になるのでクエン酸を使う方が時間と水の節約になります
クエン酸の量は大体で大丈夫ですが、洗濯物4kgに対してクエン酸大さじ2/3なので水60Lの場合は大体大さじ1杯くらいです
コップ1杯の水にクエン酸をあらかじめ溶かしておき洗濯機の柔軟剤を投入するところに入れておくと仕上げまで洗濯機にお任せできるので楽です
人間の肌は弱酸性なので石けんの弱アルカリ性は肌の弱い人にとっては刺激になることもあるのでアトピー肌や赤ちゃんがいる場合はぜひクエン酸で仕上げてあげましょう
粉石鹸と液体石鹸どっちがいい?
液体石鹸の方が石鹸が溶けているので使いやすそうなイメージですが、粉石鹸も液体石鹸もしっかり泡立てて使うのは同じですしどちらかと言うと液体石鹸の方が洗浄成分が少ないので石鹸カスができやすかったりします
なので普段は炭酸塩(助剤)が30~40%くらい配合された粉石鹸を使い、液体石鹸は泡立ち不足の際の注ぎ足し用や手洗いでセーターなどを洗う時用にと分けて使うのがいいでしょう
粉石鹸を使う時のポイント
・石鹸の正しい使用量を見極めましょう
・冬場など水温が低い時期は、洗いとすすぎ1回目は、「最低水温20℃以上」をキープする為に、お湯を使いましょう
・洗濯物を入れる前だけでなく、洗濯物を入れた後の泡の状態もチェックしましょう
(洗い終了時点で泡が完全になくなってはおらず、泡の層がまだ薄く残っているくらいの状態であれば、概ね問題はありません)
・すすぎは入念に行いましょう
・肌が弱い場合は仕上げにクエン酸を使いましょう
衣類に石鹸カスが付いてしまった時の対策方法
衣類に付いた石鹸カスが少しくらいなら、乾いてから手で払い落とせば(多少、布をゴシゴシ擦るなどして)落ちるので洗い直ししなくてよいですが、余りにも酷いようならば、すすぎ直しした方がいいでしょう
放っておくと、後で油臭くなるので何にも入れない真水ですすいでもいいですが、多少手でゴシゴシしないと落ち切らない場合もあるのでその場合は以下の2点のどちらかを試してみてください
・炭酸塩かセスキ炭酸ソーダがあれば水30㍑に対して小さじ1〜大さじ半分を溶かし30分ほど浸け置き洗いをする
・水30㍑に対して大さじ1杯弱ほどの重曹を熱湯で溶かしたものに30分ほどつけ置き洗いをする
石鹸洗濯にしてよかったこと
・とにかく汚れ落ちがいい
・合成洗剤の頃は、シーズンオフで長期収納した服が、きちんと洗濯してあったはずなのに、白い服が黄ばんでいることがしばしばあったのが、それがなくなった
・柔軟剤を使わなくても、ふわっと柔らかい洗い上がりで、合成洗剤のような柔軟剤を使わないとバリバリするということがない
・洗濯物に余計な匂いが付かないので、好きな香りの香水やアロマなどを楽しんだり、逆に香りがはばかられる局面では無香でいられるので、融通が利きやすい
まとめ
今回は粉石鹸と粉末洗剤の違いや粉石鹸を使った洗濯時の溶け残りの原因や正しい使い方などを紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
粉石鹸はしっかり泡立てることや使用量を見極めることなど合成洗剤と比べると気にしないといけない事があるので大変そうと考えてしまいがち…
でも慣れると苦にならないし洗濯物はスッキリきれいになり部屋干ししても生乾きのニオイを気にせずに済むというメリットも色々あるのでぜひこの機会に粉石鹸でも洗濯に挑戦してみてはいかがでしょうか?
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